日常のタスクからどうやって「演奏モード」に切り替えるか【結論:ブレスを変える】
スマホが当たり前になった2020年。
常に色々なところから連絡が入るし、刺激的なニュースも頻繁に入ります。
そんな中、没頭して演奏モードに入るのは正直難しいです。
どうすれば良いのか現時点で考えたことですが、結論はブレスを変える、です。
現代はマルチタスク
現代は、マルチタスクに侵されていると言えます。
演奏家1本で食べれる人は少ないですし、演奏しながら論文も書いたり、教えながら演奏もしたり、他の仕事をしたりするのが当たり前になってきています。
コロナによってこの傾向はますます加速するでしょう。
シングルタスクとマルチタスク
マルチタスクのデメリットは近年の研究で明らかになっています。
一つのことに集中するシングルタスクの方が成果を出しやすいとされています。
うまく切り替えられなかった経験
学部生の頃からの悩み
自分は楽理科にいながら演奏も沢山していたので、その両立にかなり苦しみました。
- 論文を書いている時期はどうしても内向的になる
- かといって演奏モードに入ってしまうと、今度は論文が書けなくなる
普段めちゃくちゃ元気なオペラ科の同級生が、論文を書いている時期に別人のように内気になっていたりしました。
おそらくみんな同じだったのではないかと思います。
トーク後の演奏は難しい
演奏会でトークをした後に弾くことがあります。
今でこそ慣れてきましたが、最初はうまく切り替えられず苦戦しました。
喋った後に弾くと、うまく演奏モードに入れなかったのです。
結論:ブレスを変える
現時点での解決策は、ブレスを変える、に尽きます。
トーク後の演奏の時
喋ってから演奏に切り替える時に、深呼吸します。
その呼吸がスイッチとなって、演奏モードに切り替わるようになりました。
曲に没頭する時
その曲のブレスをするよう心がけます。
自分はある時から、演奏がビジネス的と言われたり、業務的と言われたりすることもありました。
今思うと、ブレスが他のタスクをしている時のまま、演奏に入っていたのです。
演奏家や役者である以上、心の底から思っていなくても、それを表現しなければならないことがあります。
名演奏家や名役者はそれをテクニックでもやっています。
どんなテクニックか考えてみると、やはり結論は、
ブレスがその役になりきっている
ということだと思います。
愛する気持ちを歌う曲なら、そのようなブレスを意識的にでも作り出す。
悲しみを歌う曲なら、そのようなブレスを意識的にでも作り出す。
モチベーションとの関係は?
やる気があればできる、モチベーションがあればできる、という意見もあると思います。
でも毎回モチベーションに左右されるのも疲れます。
結局、そのブレスに入り込めば、それが次なるエネルギーを生み出して、良い連鎖になっていくのではないかと思います。
演奏モードへの意識的な切り替え
スイッチを意識的に切り替えることが必要かと思います。
自然とそのモードに入れるような人は良いのですが、普通はなかなか、難しい。
いきなり取りかかる
いきなり取りかかるのも一つの手です。
結局、始めないと没頭できないからです。
誰もが経験あると思いますが、大きいタスクに取り組む時、なかなか第一歩が踏み出せません。
ですがいざ初めてみると、没頭できたりします。
哲学者の千葉雅也の以前のツイートです。
演奏ではなく執筆への切り替えですが、参考になります。
ネットをだらだら見てる状態から、執筆モードに入るときには、本当に無意味に、やるぞ、とファイルを開いて取りかかるしかない。すると、新しい状況で欲動が動き出す。その切り離しは暴力的で、そうでしかないと思う。そしてそれは、母親から子供が切り離されることを連想させる。
— 千葉雅也『デッドライン』発売 (@masayachiba) September 16, 2018
ネットをだらだら見てる状態から、執筆モードに入るときには、本当に無意味に、やるぞ、とファイルを開いて取りかかるしかない。すると、新しい状況で欲動が動き出す。その切り離しは暴力的で、そうでしかないと思う。そしてそれは、母親から子供が切り離されることを連想させる。
まとめ
ブレスを変えて「演奏モード」に入り込むということを見てきました。
とある世界的テノール歌手の先生に、「プレイヤーは詐欺師のごとく生の体験を再現できなければならない」と言われたことがあります。
また、演出家の先生には、「漠然とやるのではなく、意識してやるのが役者であり演奏家」と言われました。
それができるようになりたいと思う今日この頃です。
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高橋健介 KENSUKE TAKAHASHI Official Website
ピアニスト(ピアノ)高橋健介の公式ウェブサイトです。埼玉県出身。大宮光陵高校音楽科ピアノ専攻卒業。東京藝術大学楽理科を首席で卒業。同大学大学院音楽研究科音楽学専攻修了。在学中、同声会賞、アカンサス音楽賞、大学院アカンサス音楽賞を受賞。日本声楽家協会講師、二期会研修所ピアニスト。