「表現する(ex+press)」ということについて考えてみる【現象を追わない】
演奏するということは、表現するということです。
何を表現するかというと、基本的には人間の感情です。
自然の描写をすることもあります。ですが、その自然を見ているのは、感情を持った人間です。
語源から考える
「表現する」という動詞は英語で”express“ですね。
語源としては「ex(外へ)」「press(押し出す)」です。
外に出るということは、中に何かがあるということです。
それが人間の感情なわけです。
現象を追わない
レッスンでも「書いてあるからやっているように聞こえる」と言われた(or言った)経験、誰もがあると思います。
自分の中(=in)にある「内的なもの」を伴わずに、書いてある現象を再現しようとすると、人に気づかれてしまうんですね。
フォルテと書いてあるから大きくした、Prestoと書いてあるから早く弾いた、という状態です。
これは書いてあるからやっている状態です。
現象を追ってしまっています。
「ex」するからには何らかの内的変化がある
そうではなく…
- 何が起こってフォルテになったのか(=作曲家にどんな変化があってフォルテと書いたのか)
- 自分はそれに対して共感できるのか
- できないならどうすべきか
これらを考えなければなりません。
前提として、exの前には必ず何らかの内的変化があるということです。
まとめ
物事の本質を考えて行きたいです。
音楽の本質とは。感情を表出するとはどういうことか。感情とは何か。
現象をただ追ってしまうことと、根底から考えることには雲泥の差があると思っています。
高橋健介 KENSUKE TAKAHASHI Official Website
ピアニスト 高橋健介の公式ウェブサイトです。埼玉県出身。大宮光陵高校音楽科ピアノ専攻卒業。東京藝術大学楽理科を首席で卒業。同大学大学院音楽研究科音楽学専攻修了。在学中、同声会賞、アカンサス音楽賞、大学院アカンサス音楽賞を受賞。日本声楽家協会講師、二期会研修所ピアニスト。