ショパンと歌(手首で呼吸!?)

言説

ショパンはオペラが好きだった、とよく言われますね。

弟子らの証言からも、ショパンの音楽の理想は良い歌だったとわかります。

普段ピアノのレッスンでも、「もっと歌うように」と言われたり言ったりすると思いますが、ショパンも頻繁に弟子たちに言っていたようです。

弟子たちの証言

いま、この本を読んでいるのですが、めちゃくちゃ面白いです。

エーゲルディンゲル『弟子から見たショパン 増補最新版: そのピアノ教育法と演奏美学』米谷治郎、中島弘二 訳(音楽之友社)

この本の序には、こんな風に書かれています。

ショパンが早くから声楽に魅惑され、ことに具象化はベルカント唱法にあると考えていたのも驚くには当たらない。1830年代のこの声楽の偉大な流派においては、朗唱の技術と音楽による劇的な表現が巧妙に結びついていたわけだが、彼にはそれが理想的かつ決定的な演奏形態に思われたのである。

(エーゲルディンゲル『弟子から見たショパン 増補最新版: そのピアノ教育法と演奏美学』米谷治郎、中島弘二 訳(音楽之友社)、23頁)

ショパンがいた当時のパリには、優れた歌手が多く集まっていました。

こちらの記事でも書きましたが、パリきて初めて、歌を歌うとはどういうことかわかったと言っています。

ショパンはワルシャワでもオペラをよく聴いていましたが、当時の音楽の都はパリですので、レベルが違ったのでしょう。

ピアノは極端な話、息を止めても弾けますが、ショパンもピアノを弾くときに良い歌手のような自然なブレスをしていたのだと思います。

弟子にも、イタリアの歌手を聴きにいくように勧めていたようです。

自然な演奏ができるようになるには、イタリアの歌手を頻繁に聴きに行くようにするのが良い。

(同書、71頁。)

手首と呼吸

ピアノは声ではなく、腕や手を使って(もちろん身体全体でも)弾く楽器ですので、技術はまた違います。

歌になぞらえて、ピアノのテクニックについて書いている記述もあります。

手首の動き〔:〕それは声楽における呼吸ブレスである。

(同書、71頁)

これは、ショパンが残した『ピアノ奏法草稿』(未完)に保存されている1枚の五線紙の冒頭に、書かれているそうです。

ショパンはさぞ、しなやかな手首だったと思います。

でも現代のピアノでむやみやたらと手首を動かすと、音が抜けてしまうことがあるので、この言葉を盲信するのは良くなさそうです。

あくまで比喩の一種として捉えるようにしています。

まとめ

いずれにしても、呼吸が大切と言えます。

『弟子から見たショパン』はあまりにも詳細なのですぐには読みきれませんが、ショパンがとても身近になりそうです。