マインドフルネス・プレイング(造語)【瞑想と演奏を組み合わせる方法】
今回は、瞑想と演奏を組み合わせたマインドフルネス・プレイングを紹介します。
「マインドフルネス・プレイング」という言葉は私の造語ですし、やり方もオリジナルですが、他で紹介されていたら教えてください。
瞑想とピアノを組み合わせられないかという発想が出発点です。
歩行瞑想(マインドフルネス・ウォーキング)とは
瞑想のメリットはあらゆる研究から明らかになっています。
しかし、瞑想を習慣化するのは、想像以上に難しいです。
つい何かを考えてしまったり、スマホを見たくなってしまったり。
そこで「ながら瞑想」という、より取っ掛かりやすい方法があります。
- 入浴時に瞑想する「瞑想浴(マインドフルネス入浴)」
- 食事をじっくりゆっくり味わって食べる「食瞑想(マインドフルネス・イーティング)」
- ゆっくりと歩きながら行う「歩行瞑想(マインドフルネス・ウォーキング)」
などなど。
以下で歩行瞑想(マインドフルネス・ウォーキング)を例に見ていきます。
歩行瞑想 マインドフルネス・プレイング
精神科医のMarlynn Wei博士によると、歩行瞑想の方法は以下のとおりです(2017年12月「Psychology Today」より)。
- カラダの力を抜き、手と腕をリラックスした状態にして少し深呼吸。その際、地面に立った自分の足の感覚に意識を向ける。
- リラックスして普通に呼吸する。
- ゆっくりと慎重なペースで歩き始める
- 足の動きと感覚に集中する (足が地面から離れて上がるとき、かかとが地面に触れるとき、自分の重心が前へと変化するとき、それから重心が反対側の足に変わるときなどの感覚)
- 足の感覚に注意を払って歩き続けることにより、両足交互に重心が移動を繰り返していることを感じる。
- 歩いて重心が変わることで、自分のカラダ(背中、足、腕、肩、胸、および首)がどのように感じているか意識を向ける。
Marlynn Wei博士は、「普通なら歩いていると注意散漫になるが、足の感覚に意識を向けることによって集中できる」といっています。
動画で簡単に知りたい場合はメンタリストDaiGoさんの動画でも少し解説されています。
マインドフルネス・プレイング
そこで、上記の内容を、ピアノを弾く際に応用してみます。
- ピアノの椅子に座り、カラダの力を抜き、手と腕をリラックスした状態にして少し深呼吸。その際、自分の足と手の感覚、そして椅子に座っている自分のお尻に意識を向ける。
- リラックスして普通に呼吸する。
- ゆっくりと慎重なペースで弾き始める
- 主に手や腕の動きと感覚に集中する (手が鍵盤に触れる時、足がペダルに触れる時、重心が移動する時などの感覚)。
- 手や腕の感覚に注意を払って弾き続けることにより、指が鍵盤に触れ、鍵盤が下がるのを繰り返していることを感じる。
- 指が移り変わることによって、またそのタッチによって、自分のカラダ(背中、足、腕、肩、胸、および首)がどのように感じているか意識を向ける。
ポイント
目を瞑ってみる
目を瞑ってやると、さらに効果を感じます。
演奏する時には本来、目を瞑ることはよくないとされますが、練習の時にやってみるのはメリットがあると思います。
この方法の目的は、瞑想と演奏を組み合わせることなので、本来の瞑想の際の「目を瞑る」という行為は重要です。
暗譜している曲で試す
そのため、暗譜している曲でやることをお勧めします。
私の場合は、バッハの《平均律クラヴィーア曲集》第1集の第1番プレリュードでやることが多いです。
曲としても、最初は穏やかな曲の方が簡単です。
余計なことを考えない
和声的にここはこう弾こう!など、音楽のことは考えないようにします。
ひたすら身体の感覚に集中するようにします。
メリット
- 身体の動きを感じやすい
- 集中モードに入りやすい
身体の動きを感じやすい
普段は「演奏すること」に集中してしまいがちですが、「動きそのもの」に集中することで、身体の動きを感じやすくなります。
集中モードに入りやすい
頭がすっきりして、集中モードに入りやすくなります。
本来の瞑想に近い感覚です。
まとめ
瞑想と演奏を組み合わせる方法、「マインドフルネス・プレイング」を紹介しました。
何よりも、練習前に心が安定するような感覚があります。
他の楽器でも同じようなことができるのではないかと思います。
自己流にアレンジして、ぜひお試しください。
メニューインとヨガ【楽器を持たない練習法と呼吸法】
以前『ハタヨガの真髄』という本を読んでいたら、最初の方の「推薦の辞」を書いているのがメニューインでした。このメニューインって、あのヴァイオリニストのメニューイン!?そうです。ヴァイオリニストのメニューインは、ヨガ行者アイアンガーに出会い、ヨーロッパ各地でヨガを広めた人でもあるのです。
高橋健介 KENSUKE TAKAHASHI Official Website
ピアニスト 高橋健介の公式ウェブサイトです。埼玉県出身。大宮光陵高校音楽科ピアノ専攻卒業。東京藝術大学楽理科を首席で卒業。同大学大学院音楽研究科音楽学専攻修了。在学中、同声会賞、アカンサス音楽賞、大学院アカンサス音楽賞を受賞。日本声楽家協会講師、二期会研修所ピアニスト。