音楽のオンライン配信で共有しにくいもの【味覚、嗅覚、触覚】
音楽のオンライン配信が増えてきました。
日常的に世界的アーティストや友達の演奏が聴けるのは嬉しいです。
ですが、やはりオンラインだけでは厳しいのも現状です。
オンライン配信で共有しにくいものを考えてみます。
オンラインは、視覚・聴覚の繋がり
オンライン会議や、オンライン配信の視聴で使われるのは、「視聴」という言葉からも分かる通り、視覚と聴覚です。
ですが人間にはその他に、触覚、味覚、嗅覚を感じることもできます。
一般的に五感と言われるものです。
五感
- 視覚
- 聴覚
- 触覚
- 味覚
- 嗅覚
今の技術では、オンラインでは触覚、味覚、嗅覚が伝わりません。
オンラインで伝わりにくいこと
五感に分類すれば、触覚、味覚、嗅覚が伝わりにくいですが、そのほかの言葉にも置き換えられます。
- 空気感
- オーラ
- 熱量
先日このような体験をしました。
初対面(対面と言わない?)がzoomだったのですが、リアルに会ったら身長の高さにびっくりしました。その人の空気感やオーラも、zoomで感じたものとは違いました。
オンライン会議でも、社長も社員も同じ画面に均等に配置されので、立派な椅子に腰掛ける「社長」のオーラがほぼなくなるようです(前時代的な社長のイメージですが笑)。
コンサートにおける五感
コンサートにおける五感を考えてみます。
- 視覚…演奏者の動き、周りのお客さんの姿
- 聴覚…演奏者の音楽、周りの雑音
- 触覚…ホールの椅子に座った時の感覚、プログラムを触った時の手触り
- 味覚…休憩中のコーヒー、ワイン、食事
- 嗅覚…会場の匂い、チラシの束の匂い、隣のお客さんの匂い(笑)
オンライン配信を自宅で聴く場合は、この中の相当数が削られることになります
家でコーヒーを飲みながらいつもの椅子に座ってアロマを焚きながら聴いても、それは自分の日常です。
コンサートのような「非日常」ではありません。
何よりも、共有するものが少なくなります。
確かに演奏者の音と映像は共有しますが、同じ雑音を聴く、同じ会場の匂いを嗅ぐ、同じプログラムを触れる、などの共有はありません。
そういうものがあっての音楽の共有が、コンサートです。
まとめ
将来、PCから香りが出たりするかもしれませんし、最近のVRも精度が高いです。
ただどこまで生と同じ空気を吸えるのか。それが今の技術者たちが立ち向かっているところだと思います。
もちろん、オンラインだからこそできることも追求されています。
個人的には、オンラインが普及したからこそ、生の良さがわかっていく時代になると信じています。
音楽は同じ「空間」で人と「共有」するからこそやりがいがある
先日、自粛が徐々に解除されたことで、久々に現場で仕事をしました。指揮者とピアニスト(自分)で、オペラの伴奏のみの撮影でした。明らかにここ2ヶ月使っていない身体を使った感覚がありました。それが何だったのか考えてみました。 家で1人で弾いているのと何が違ったのかというと、
高橋健介 KENSUKE TAKAHASHI Official Website
ピアニスト(ピアノ)高橋健介の公式ウェブサイトです。埼玉県出身。大宮光陵高校音楽科ピアノ専攻卒業。東京藝術大学楽理科を首席で卒業。同大学大学院音楽研究科音楽学専攻修了。在学中、同声会賞、アカンサス音楽賞、大学院アカンサス音楽賞を受賞。日本声楽家協会講師、二期会研修所ピアニスト。