《カヴァレリア・ルスティカーナ》の間奏曲はなぜ美しいのか【その秘密は楽器編成にあり】

楽曲解説

オペラの序曲や間奏曲の中でも、最も単独で取り上げられることが多い曲の一つ、《カヴァレリア・ルスティカーナ》の間奏曲についてです。

この曲の美しさはどこからくるのかを考えてみました。

結論からいうと、「楽器編成」に秘密があります。

オペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》

《カヴァレリア・ルスティカーナ Cavalleria Rusticanaは、ピエトロ・マスカーニ Pietro Mascagni(1863-1945)によって作曲され、1890年に初演されたオペラです。

物語は、三角関係の生々しい話です。

一言で言ってしまえば、

人妻になった昔の恋人を忘れられなかった主人公が、その人妻の夫に殺される。

というものです。

まさに、ヴェリズモというジャンルの典型的な作品です。

間奏曲

その物語の途中で、美しく奏でられるのがこの間奏曲です。

ストーリー的には、人妻の夫が、妻の浮気を知り激怒して、復讐を誓った後です。

そんな場面には相応しくないくらい美しい間奏曲が挟まれます。

なぜ美しいのか

人によって美しいと感じる理由は様々だと思いますし、美しいと思わない人もいるかもいるかもしれません。

しかし、そのような議論以前に、この曲には特徴的な要素があります。

その秘密は、楽器編成にあると言えます。

その中でもとりわけ「弦楽器のユニゾン」が美しさを引き出しています。

弦楽器のユニゾン

この曲のサビともいえる部分の有名な旋律は、3オクターブにわたる弦楽器のユニゾンで奏でられます。

ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが全てユニゾンです。

これだけの楽器が、一つの旋律を奏でると、とても厚みのある響きとなります。ハモリもないため、より旋律が際立ちます。

そのため演奏者側も神経を使いますので、良い響きが生まれやすいのかもしれません。

この時代の作品であればヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのユニゾンは他にもあります。

しかしこの部分は、伴奏がオルガンとハープのみということで、さらに旋律が際立ちます。
(オーケストラの編成上、コントラバス がベースをなぞることも多いです)。

スパイス的な管楽器

管楽器は、ピッコロ、フルート、クラリネット、オーボエが入るのですが、オーボエ以外は、最後の2小節しか出番がありません。

楽譜としては順番が逆転しますが、前半は基本が弦楽器のみで成り立っています。

そのため、管楽器で唯一入るオーボエの対旋律が際立ちます。

まとめ

この曲の美しさは、「弦楽器のユニゾン」が鍵を握っていると言えます。

そしてそもそも、楽器編成も特徴的です。

そういった要素が絡み合い、とても美しい曲なり、オペラを飛び抜けて単独でも人気な曲となったと言えるのではないかと思います。