過去の自分の否定【アップデートしてバグを修正】
過去の自分の否定
過去の自分の否定は、成長プロセスでは必ず通る道かと思います。
音楽家にとっても、ものすごく大切なことです。
もちろん、「自分の全否定」まで行ってしまうと、それはもう再起できなくなる可能性があります。
それくらい、過去を否定する、今までの自分を否定するというのは非常に怖いことでもあります。
でもそれを乗り越えなければ、新しい自分は手に入らないのかもしれません。
自分の経験
先生の変更時
私も、新しい先生に習う度に、過去の全否定のような感覚を味わってきました。
「前の先生と言っていることが真逆」
その度に、遠回りをしてしまったのか、間違ったことを習っていたのか、と思うこともありました。
でも時間が経ってみるとわかるのですが、結局は同じことを言っていたのだと気づくことがあります。
- 本当は同じことを言っているのに、自分が違うことを言われていると勘違いしてしまう
- 違うアプローチで、同じゴールに向かっている
声楽家だったら、発声に関することでこのような経験を誰もがしていると思います。
ピアニストだったら基礎的なテクニックのことでしょうか。
大局観
「先生の言っていることが10年後にわかった」と、しばしば聞きますね。本当にそうなのかもしれません。
どうしてそのようなことが起きるのか?
現時点での自分には、目の前しか見えてないんですね。
豊富な経験を経た先生が見えている世界と、未熟な自分が見えている世界の大きさには、何倍もの差があります。
見える世界が広がった時に、やっと自分もわかるようになるのだと思います。
「自然に弾く」ということについて
今の自分の「自然」は、本当に「自然」なのか。
成長に伴って「自然にやる」という感覚も変わってきます。
天才は別として…果たして若い頃の自然が本当に自然なのか。
素晴らしい経験を積み重ねた巨匠が自然に演奏したら、それは素晴らしい演奏になると思います。
でもその段階に行かない場合に、自然に演奏しても、おそらく自然ではないんですよね。
とはいえ、未熟な段階でも相当やり込んだものに関しては、最後に自然にやってみるとうまくいくことがあります。
それはそこにいくまでに時間を積み重ね、試行錯誤を繰り返しているからですね。
昨日の自分を否定して、今日を生きる
昨日の自分を否定して、今日を生きる。
今の時代には、必要不可欠なことかもしれません。
なんせ、時代の動きも早すぎます。
昨日の自分を否定した結果、やっぱり1ヶ月後には前の自分が正しかったと思うかもしれません。
それはそれで良いと思うのです。その時の自分は、1ヶ月前の自分と全く同じではありません。
A→「否定」→A’
ダッシュのところに、もしかしたら本質があるかもしれないのです。
まとめ
音楽は、ちょっとした感覚の違いで大きな違いが生まれることがあるような繊細なものです。
だからこそ、自分の感覚を、日々アップデートして行かなければならないですね。
AppleのiOSのように、アップデートしてバグを修正です。笑
意識から無意識へ【できるまでの4つの過程】
①分かっていないということが分からない段階 ②分かっていないということを分かっている段階 ③分かっていることを意識的にできる段階 ④分かっていることを無意識的にできる段階 について。
高橋健介 KENSUKE TAKAHASHI Official Website
ピアニスト 高橋健介の公式ウェブサイトです。埼玉県出身。大宮光陵高校音楽科ピアノ専攻卒業。東京藝術大学楽理科を首席で卒業。同大学大学院音楽研究科音楽学専攻修了。在学中、同声会賞、アカンサス音楽賞、大学院アカンサス音楽賞を受賞。日本声楽家協会講師、二期会研修所ピアニスト。