カザルスの言葉①
チェリスト、パブロ・カザルス Pablo Casals(1876-1973)の珠玉の言葉を紹介したいと思います。
カザルスは、スペインのカタルーニャ地方出身の、チェロ奏者です。また、指揮者、作曲家としても活動しました。
今日ではチェリストの定番のレパートリーとなっている、バッハの《無伴奏チェロ組曲》の価値を再発見した人としてよく知られています。
彼が13歳の時、マドリードの楽譜屋で偶然見つけたそうです。
カザルス自身の録音や映像も残っています。
カザルスとバッハ
バッハのスタンダードな演奏とは言えませんが、非常に自由でロマン的です。
そんなカザルスはバッハについても、多く語っています。
バッハなしには私の1日は始まらない。食べ物や水はなくてもかまわないが。
パブロ・カザルス 『鳥の歌』 (ちくま文庫)、ジュリアン・ロイド・ウェッバー 編、池田 香代子 訳、92頁。
朝食よりも、コーヒーよりも、バッハですね。
これまでの八十年間、私は毎日をおなじように始めてきた。それは機械的なルーティンといったものではなく、私の日々の生活にとって欠かせないなにかだ。私はピアノでバッハのプレリュードとフーガを二曲ずつ弾く。ほかのことをするなんて考えられない。まあ、家であげる一種のお祈りみたいなものだ。
パブロ・カザルス 『鳥の歌』 (ちくま文庫)、ジュリアン・ロイド・ウェッバー 編、池田 香代子 訳、97頁。
…….チェロではなく、ピアノで弾いていたということでしょうか?
個人的に興味深かった話は、なぜ演奏する時はいつも目を閉じているのか、と尋ねられて、カザルスが答えた言葉です。
あえて目を閉じていられるようになるまでは、長いあいだ目をかっと見開いていなければならなかったのです。
パブロ・カザルス 『鳥の歌』 (ちくま文庫)、ジュリアン・ロイド・ウェッバー 編、池田 香代子 訳、38頁。
含蓄のある言葉というか、深い言葉だと思います。
カラオケで我々が目を瞑って歌うのとはわけが違うんですね。
カザルスと《鳥の歌》
カザルスの代名詞とも言えるのが、《鳥の歌》です。
1961年11月13日、ケネディ大統領に招かれ、ホワイトハウスで演奏した感動的な演奏を紹介します。
スペイン、カタルーニャの民謡をカザルスが編曲しています。
カザルスの次の言葉が心に染みる演奏です。
メロディの心はぜったいに紙には書けない。
パブロ・カザルス 『鳥の歌』 (ちくま文庫)、ジュリアン・ロイド・ウェッバー 編、池田 香代子 訳、177頁。
グールドみたいに歌ってますね。
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