商売人ではなく表現者になるためには【作品と商品の違い by西野亮廣】
西野亮廣さんの今日のVoicyで、芸術家が共有すべきであろうことをおっしゃっていました。
そんな話から、曲をたくさん抱えやすい伴奏者が気をつけるべきことなどを考えました。
西野亮廣エンタメ研究所 by キングコング西野/ Voicy – 今日を彩るボイスメディア
もっと詳しい話はコチラ↓ https://salon.jp/salons/view/1hc1srjr-johu-o7eg-33xn-r8u88p2slizf
作品と商品の違い
- 作品…芸術的制作物
- 商品…売買を目的とした品物
それに伴い、これらを扱う人は以下のようになります。
作品を扱う人=表現者
商品を扱う人=商売人
演奏家だったら自分の演奏は、作品なのか商品なのか。
もちろん、プロはお金をもらって演奏するので、商品でありながら作品でもある状態だと思います。
ただし、芸術をやる以上、「作品」に主眼を置いて活動したいというのは誰もが思うことでしょう(それに、あるべき姿だと思います)。
やりたい曲をやりたいし、やりたい本番をやりたい。
作品の売り上げで作品を作ることの問題点
作品の売り上げで作品を作ると、(作品は)商品になってしまう。
本人は作品を作っているつもりでも、作品の売り上げで作品を作るサイクルだと、それは商品になってしまいます。
どのような連鎖が生まれてしまっているかというと、
作品が売れなかったら、次の作品を作れない →だからヒットする作品を作らなければならない =クリエイティブはお客さんが握っていることになってしまう
映画だったら、本当は入れたいわけではない人気の俳優を入れるとか、ウケそうな恋愛話をいれるとか…です。
演奏家だったら、やりたくないけど受けの良い曲をやるとか。
「有名な曲をいれてください」とのリクエストは、多いですよね。
さらに広げると、本当はやりたくないけどお金のためにやらなきゃいけない仕事が増える状態というのも近いと思います。
表現者は、自分がクリエイティブを握ることが出発点
西野さんは、そのためには、作品以外の売り上げで作品を作る必要があると言います。
(ちなみに西野さんの場合は、オンラインサロンの収益で作品を作っています。)
その瞬間、作品からマーケティング要素が無くなるからです。
売れないとわかっていても、作りたいものを作る。
そして、偏愛やエゴを出し切ることで、人々の胸に強烈に残る作品を作ることができると。
この時、クリエイティブはお客さんではなく、自分にあります。
芸術が発展したのはパトロンのおかげ
ルネサンスに後世に残る作品が生産されたのは、メディチ家のおかげです。
つまり、パトロンです。
ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロなどの芸術家は、作品の売り上げで次の作品を作っていたわけではなく、パトロンからお金をもらって作品を作っていました。
だからこそ余裕があり、自分のクリエイティブさを発揮するために労力と時間をかけられたし、エゴを出すこともできました(パトロンに認められているという前提ですが)。
ただ、ルネサンス同様(パトロンに気に入られた芸術家はごく一部でしょう)、現代でもそう簡単には行きません。
何で稼ぐかという話は今回は置いておきますが、やりたくない音楽の仕事をやるくらいなら、他の仕事で稼ぐというのも一つの有益な手段だと思っています。
伴奏者が商売人にならないためには
自分の話へ移ります。
伴奏の仕事を多くしてしまうと、商売人になってしまいやすい傾向があります。
理由を考えると、
- 曲が与えられることが多い
- 曲が多い
など。
曲が与えられることが多い
伴奏者がソリストの試験やリサイタルの曲を決めることは普通はありません(ただ、信頼関係などによっては、一緒に決めることもあります)。
そうすると、自分が選んだ曲でもないし、クリエイティブの出発点が自分になくなってしまいやすいです。
曲が多い
伴奏をたくさんやっていると、とんでもない曲数を抱えることはしばしばあります。
演奏会が複数重なれば、一時期に60曲以上なんてよくあることです。
そうなるとそれらの曲全てを、同じだけ愛せるかというと、それはかなり難しくなります。
やるべきこと
しかし、その曲を演奏するからこそには、その曲のチャームポイントや魅力を表現するのが、表現者のあるべき姿です。
この辺りはかなり意識的に、各曲をクリエイティブに見る必要がありますが、あとは時間との戦いでもあります。
できることは、
- なるべく曲を深く好きになれるよう、魅力を発見する
- 時間をかける
- 表現者という意識を持つ
ということでしょう。
そもそも商品にもならない可能性もあるのですが(爆)、ただの「商品」にならないようにする必要があります。
芸術的制作物である「作品」にするための意識が、たくさん曲を抱えることが多い伴奏者には特に必要だと感じます。
まとめ
西野亮廣さんが考える「作品」と「商品」の違いから、曲をたくさん抱えやすい伴奏者が気をつけるべきことなどを考えました。
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高橋健介 KENSUKE TAKAHASHI Official Website
ピアニスト 高橋健介の公式ウェブサイトです。埼玉県出身。大宮光陵高校音楽科ピアノ専攻卒業。東京藝術大学楽理科を首席で卒業。同大学大学院音楽研究科音楽学専攻修了。在学中、同声会賞、アカンサス音楽賞、大学院アカンサス音楽賞を受賞。日本声楽家協会講師、二期会研修所ピアニスト。