初見で歌の伴奏をする時に気を付ける3つこと【三段見る、テンポの安定、不安なら抜く】
最近はなんか少なくなりましたが(おそらく弾いたことある曲が増えた)、学部生の頃なんかはよく練習の時に「ちょっと弾いてくれない?」と言われてよく初見で弾いていました。
そういうのが嫌なピアニストもいると思うのですが、歌い手はわりと無茶振りしてきます。笑
そんな時に気をつけるべき3つのことです。
初見で歌の伴奏をする時に気を付ける3つこと
結論から言いますと、以下の3つです。
- 三段見る
- テンポの安定
- 不安なら抜く
1つずつ解説します。
三段見る
三段とは、「ピアノの大譜表(二段) + 歌のパート」です。
重唱になったらその分増えてきます。
慣れていない人だと、ピアノのパートしか見ていないのではないかと思います。
私の場合は、多少、右手を疎かにしてでも歌のパートを見ます。
なぜかというと、ブレスがあるからです。
ブレスを無視してピアノだけ進んでしまうと、歌手は次のフレーズが歌えなくなってしまいます。
ですので、たとえ初見でも、ちゃんと歌のパートを見ます。
テンポの安定
テンポが揺れてしまうと、非常に歌いにくくなってしまいます。
特にロマン派以前のオペラでは要注意です。
お馴染みの「ズンチャチャチャッチャ♪」など、基本的にはリズムは崩れません。
第二ヴァイオリンやヴィオラによくある細かい音形の伴奏も、どんどん速くなったりしやすいので注意します。
これらが崩れてしまうと、歌手はそれこそブレスのタイミングを失ってしまいます。
不安なら抜く
ヘンテコな音やヘンテコな和音を弾いてしまいそうなら、勇気を持って、音を抜きます。
なぜなら、違う和音が聴こえると歌いにくくなってしまうからです。
違う和音を弾いてしまうくらいなら、左手のバスだけあった方が歌いやすいのです。
あとは、ピアノが歌と同じ音をなぞる時です。
この時はさらに要注意で、同じ音が聞こえてくるはずなのに違う音が聞こえると、普通は歌えなくなってしまいます。
それならまだ、音がない方が良い、ということです。
まとめ
以上の3つに注意しながら、初見で伴奏する経験が増えれば、確実に初見能力がアップするはずです。
もちろん他にもコツはあると思いますし、「三段見る」と「テンポの安定」については初見かそうでないかに関わらず重要なことです。
私も正直、初見はそれほど得意ではありません。
ですが、歌の伴奏を初見で弾くことに関してはだいぶ慣れてきました。
ソルフェージュの試験でやる初見とはまた少し違った能力だと思います。
高橋健介 KENSUKE TAKAHASHI Official Website
ピアニスト 高橋健介の公式ウェブサイトです。埼玉県出身。大宮光陵高校音楽科ピアノ専攻卒業。東京藝術大学楽理科を首席で卒業。同大学大学院音楽研究科音楽学専攻修了。在学中、同声会賞、アカンサス音楽賞、大学院アカンサス音楽賞を受賞。日本声楽家協会講師、二期会研修所ピアニスト。
New:「Kotoba to Oto Vol. 1」おかげ様でチラシ公開から2日ほどで完売してしまいました。
配信などについては調整中です。