弾く(歌う)前に楽譜を読む【藤村実穂子さんの練習法から】
時間がないと、楽譜をもらってすぐに弾いて(歌って)しまう。
ですが、本来はその前にやるべきことはたくさんあります。
自分への戒めも込めて書きます。
すぐに弾いて(歌って)しまうデメリット
- イメージが欠落する
- 自分の今できるテクニックに縛られてしまう
- 何度も繰り返してしまい、消耗する
その他にも、あげればキリがないくらいあるかと思います。
藤村実穂子さんの練習法
藤村実穂子さんは、世界で活躍するメゾソプラノです。
こちらのインタビュー記事が素晴らしいのですが、その中で、ご自身の練習の仕方にも触れています。
http://www.meg-net.com/meg/web_interview/fujimura-20.html
私の場合は声を出すまでに100倍以上時間を掛けます。まず詩の意味を調べ、何回も繰り返し声に出して読むこと。声を出す前に楽譜をよく読み、どの部分をどう歌うかを考える設計作業。その後、どういう声で歌うのか思い浮かべるイマジネーション練習。それから初めて声を出して、自分のイマジネーションの声と合わなかったら、すぐに止めてもう一度イメージし直す。その繰り返しです。
声を出す前に、100倍以上の時間をかけるとは、並大抵ではありません。
このストイックな過程から藤村さんの歌唱が生まれているのだと思うと、納得します。
まとめると以下のような手順です。
- ①まず詩の意味を調べ、何回も繰り返し声に出して読む。
- ②声を出す前に楽譜をよく読み、どの部分をどう歌うかを考える設計作業。
- ③その後、どういう声で歌うのか思い浮かべるイマジネーション練習。
- ④それから初めて声を出して、自分のイマジネーションの声と合わなかったら、すぐに止めてもう一度イメージし直す。
この過程、素晴らしいとしか言いようがありません。
特に④の、「自分のイマジネーションの声と合わなかったら、すぐに止めてもう一度イメージし直す。」というのはなかなかできることではありません。
何度もがむしゃらに繰り返し練習しようと思ってしまうからです。
ギーゼキングやグールド
ピアニストで言えば、ギーゼキングやグールドも同じようなやり方を取っていました。
ギーゼキングもグールドも頭の中で暗譜してから弾いていたのです。
グールドは「頭の中の鍵盤を頭の中で弾いて練習した方が上手く行く」と言っています。
このあたりは深く掘り下げられるので、また別の記事で書きたいと思います。
まとめ
弾く(歌う)ことよりも、弾く(歌う)前に何をするかが重要です。
わかっているのに、つい弾きたくなって弾いてしまうのですよね…
藤村実穂子さんのインタビュー記事は他にもありますが、どれも心に刺さりますので調べてみてください。
こちらの記事もぜひ。
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