伴奏者も暗譜するべき?【結論:暗譜で弾くことを想定して練習することは大切】

アンサンブル・伴奏

声楽の伴奏をする時、歌手は暗譜でも、伴奏者は基本的に楽譜を置くのが今日の主流です。

ですが、グールドはvn.ソナタでも歌の伴奏でも全て暗譜で弾いていました。

結論、暗譜で弾くことを想定して練習することは大切です。

理由は、暗譜しようと思うと、使う脳が変わるからです。

とりあえず試しに暗譜で弾いてみる

今練習している曲や、何度も弾いたことのある伴奏を試しに暗譜で弾いてみます。

意外と弾けません。笑

そもそも暗譜することを前提で弾いてないからです。

ですが、暗譜することで使う脳が変わり、メリットが多くあります。

暗譜「しようとする」メリット

  • 和声進行や、曲の構成が頭に入る
  • 弾けていないところが明確になる
  • 譜面台を取って練習できる

弾けるようになった段階から、次の段階にいけるようになります。

使う脳が変わるからです。

和声進行や、曲の構成が頭に入る

暗譜しようと思うことで、曲の和声進行が頭に入ります。

ソロ曲の暗譜では当たり前にやっていることなのですが、伴奏の場合、たとえ単純な和声進行でも意外と覚えていない時があります。

先ほども書いたとおり、そもそも暗譜することを前提で弾いてないからです。

また、このパターンを何回繰り返すか、次にどんな展開になるかなど、曲の構成も頭に入ります。

弾けていないところが明確になる

暗譜で弾けないところは、結局楽譜を見ながらでも弾けてないことが多いです。

弾ける=脳が音を覚えている 

という要素が強いからです。

譜面台を取って練習できる

常に譜面を置いて弾いていると、譜面台で響きが塞がれて、自分に聞こえる音も変わってしまいます。

譜面台を取り払うことで、良い響きを聴きながら練習できるのもメリットです。

想起すること

結果的に、暗譜できたできないにかかわらず、暗譜をしようと思う「過程」がとても大切です。

人間は、想起することで覚えるからです。

小中学校で、漢字や英単語の小テストをやることで単語を覚えるのと同じですね。

脳に関する本を多く出されている、池谷裕二さんの過去のツイートです。

復習は入力より出力。つまり復習のときには、暗記学習するより、問題集などで「思い出す」ことが効果的なことが知られていますが、想起したすぐ後に再学習を行うことで効果が確定するのだそうです。

思い出しながら、覚える。その過程で想起するから、覚えるということですね。

照明が消えて楽譜が見えなくなった経験

とあるオペラの本番で、ピアノだけの間奏曲の時に照明さんミスで、目の前が真っ暗になりました。笑

2台ピアノでの伴奏の公演だったのですが、3分くらい楽譜が全く見えなくなりました。

ですが、楽譜を置いていたものの、2人とも暗譜していたので全く問題なく演奏できました。

オペラの現場だと、こういうこともたまにあります。笑

まとめ

声楽のコンクールで、伴奏者が暗譜で弾き出したら、審査員の先生方はびっくりするのではないでしょうか。

一度やってみたいのですが、勇気がありません。笑

「伴奏者も暗譜して本番に臨むべきかどうか」の私なりの答えは、アンサンブルの場合はピアニストは楽譜を置いた方が良いということです。

グールドのような天才は別ですが、いざという時に冷静に対応できるからです。

しかし、練習の時は、暗譜で試しに弾いてみるのことは大切です。