『七つの習慣』の「時間管理のマトリックス」を音楽の練習に当てはめる【緊急ではないけれど重要なもの】
日常の生活を送っていると、緊急で重要な事柄ばかりに目がいってしまいます。
音楽だったら、次の本番、次の合わせ、次の稽古などです。
それがコロナで少なくなり、緊急ではないけれど重要なものに手を付けられるようになってきました。
今回は、『七つの習慣』の中から、「時間管理のマトリックス」を紹介します。
『七つの習慣』
スティーブン・R・コヴィーによって書かれた自己啓発本の名著中の名著です。
1996年に出版されましたが、古くなるような内容ではありません。
存在は知っていたものの、今まで読んだことはありませんでした。
「時間管理のマトリクス」
この本の中で、「時間管理のマトリクス」を取り上げます(231頁〜)。
時間の過ごし方を、緊急度と重要度の軸にわけ、四象限マトリクスで捉える考え方です(図1)。
図1
この表を見るのが一番わかりやすいですが、4つの軸を以下に並べます。
- 第 I 領域 緊急で、重要なもの
- 第Ⅱ領域 緊急ではないけれど、重要なもの
- 第Ⅲ領域 緊急で、重要ではないもの
- 第Ⅳ領域 緊急ではなく、重要ではないもの
この中で、最も重要なのは、第Ⅱ領域の「緊急ではないけれど、重要なもの」であるという主張です。
本当に大事なのは、「緊急ではないけれど重要なもの」
音楽の練習を例に考えてみます(図2)。
図2
- 第 I 領域 緊急で、重要なもの
本番が近いもの、稽古が近いもの
- 第Ⅱ領域 緊急ではないけれど、重要なもの
基礎練習、語学、長期的な体調管理
- 第Ⅲ領域 緊急で、重要ではないもの
急でやっつけ仕事になってしまいそうなもの
- 第Ⅳ領域 緊急ではなく、重要ではないもの
だらだら
ついつい、本番が近いものから取り組んでしまいます。
これはもう人間(動物)の性質でしょう。
締め切りが近いと、急にモチベーションと集中力は増します。
これは活用すべきだと思うのですが、そうやって日常に追われていると、第Ⅱ領域の「緊急ではないけれど、重要なもの」が疎かになります。
自粛によって第 I 領域から第Ⅱ領域へ移行
それに気づかされたのは、このコロナによる自粛です。
次の本番がどんどんなくなり、第 I 領域がなくなったおかげで、第Ⅱ領域に目がいくようになりました。
もちろん第Ⅳ領域も増えた時期もありました。
多くの音楽家にとって、自分を見直すきっかけになっている時期なのではないかと思います。
特に、長期的な体調管理に気を配るようになった人は、周りでも多いようです。
まとめ
ただ、音楽家などの場合、一見無駄にみえる第Ⅳ領域でアイデアを生み出すこともあります。
しかし第Ⅱ領域が一番大切であることは変わりません。
最後にアメリカ第34代大統領のドワイト・アイゼンハワーの言葉を引用します。
「私は2つの問題を抱えている、1つは緊急でもう片方は重要なものだ。しかし、緊急なものは重要ではなく、重要なものは決して緊急であることがないのだ。」
(この記事は自分に向けて書いています。)
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高橋健介 KENSUKE TAKAHASHI Official Website
ピアニスト(ピアノ)高橋健介の公式ウェブサイトです。埼玉県出身。大宮光陵高校音楽科ピアノ専攻卒業。東京藝術大学楽理科を首席で卒業。同大学大学院音楽研究科音楽学専攻修了。在学中、同声会賞、アカンサス音楽賞、大学院アカンサス音楽賞を受賞。日本声楽家協会講師、二期会研修所ピアニスト。