再開する箇所の目星の付け方(レッスンや稽古)①【最重要:3箇所以上予測すること】
「ニッチな分野のニッチな内容」が意外と好評だったので、シリーズ化してみたいと思います。
レッスンや稽古の時に、アドバイスや注意をされたら「中断して、また再開」を繰り返しますよね。
その時にピアニストは音をあげたり、和音を弾いてあげたりしなければなりません。
そんな時に役立つコツです。
予測することが大切
最も重要なのは、「予測」することです。
それだけ!?と思うかもしれませんが、この予測の仕方がポイントです。
実際、予測すらしない人も多いと思います。
先生が何かを仰っている時にただ聞いてしまっている(昔の僕もそうでした)。
そうではなく、聞いている時も常に、次に再開する場所を「予測」しながら待ちます。
予測しながら待つのと、何もしないで待っているのでは、次の音をあげられるまでのスピードが大きく変わります。
候補は最低でも候補は3箇所つくる
最低でも、候補は3箇所くらい用意しておきます。
初めて一緒にやる指揮者や先生だったら、できれば5箇所くらい目星をつけます。
慣れている指揮者や先生だったら、3箇所くらいで良いと思います。
必ず右手は鍵盤に添えておく
0.1秒でも早く音をあげられるようにするためには、常に鍵盤の上に手があることが重要です。
車の運転で横断歩道の付近を走る時に、ブレーキの上に足を添えておくのと同じです。
第一候補の音に手を置いて待機
そして、第一候補の音に手を置いておき、届く範囲なら第二候補の音にも手を置いておきます。
具体例(スザンナの4幕のアリアから)
- ①止まったフレーズの最初から始める場合
- ②問題の音だけやり直す場合
- ③跳躍に問題があった場合
- ④少し前から流れでやってみる場合
- ⑤諦められて先に行く場合(笑)
青で示したのが、レッスンや稽古で止まった地点です。
この箇所だと「低音の出し方が云々…」で止まる可能性が高いですね。
次に再開する可能性が高い順に数字と矢印を付けました。
これは一般的に多いと言う基準ですので、先生や指揮者によって変わると思います。
もう一度、箇条書きします。
- ①止まったフレーズの最初から始める場合
- ②問題の音だけやり直す場合
- ③跳躍に問題があった場合
- ④少し前から流れでやってみる場合
- ⑤諦められて先に行く場合(笑)
これらの5箇所を予測して(おそらく数秒の間に)、その言葉や音を頭の中で想定しながら、話を聞きます。
先ほども述べたように、鍵盤に手も置いておきます。
この箇所の場合、「ソとドとレ」に置いておくイメージです。
(*さらに進んだ話をすると、左手は第一候補の和音を準備しておきます。)
予測の力も徐々についてくる
こういった予測の能力は徐々についていきます。
慣れていない場合は、徐々に色々自分のやり方で試していくのが良いと思いますが、一つの例として上のようなことが参考になると思います。
その他に必要なこと(特にオペラの稽古の場合)
その他に必要なこともたくさんあります。
例えば以下のような事柄です。
- テンポが変わる箇所はマークする
- 登場人物ごとに色をつける
- 登場人物の出入りはチェックしておく
- その指揮者や演出家の傾向を読み取る
- 楽譜の余白にフレーズの出だしの言葉を書いておく
- 線を引く時はカンマや詩節ごとに分ける
- 詩節の最初の言葉にマークする
- 一度やり直し始めた箇所は次も同じ箇所から始める可能性が高いのでチェックしておく
- 指揮者や先生が何ページめくってどこを見ているかを観察する【裏技】(※違う楽譜を使っている場合は難しい)
おそらく他にもありますが、現時点で思いつくのはこんなところです。
一つずつ解説していたら長くなってしまうので、今後、数回に分けて書きます。
まとめ
こんな感じで実は色々と考えています。
ピアニスト(コレペティ)の裏側といった感じでしょうか。
需要があればまた書きます。
高橋健介 KENSUKE TAKAHASHI Official Website
ピアニスト 高橋健介の公式ウェブサイトです。埼玉県出身。大宮光陵高校音楽科ピアノ専攻卒業。東京藝術大学楽理科を首席で卒業。同大学大学院音楽研究科音楽学専攻修了。在学中、同声会賞、アカンサス音楽賞、大学院アカンサス音楽賞を受賞。日本声楽家協会講師、二期会研修所ピアニスト。
New:「Kotoba to Oto Vol. 1」おかげ様でチラシ公開から2日ほどで完売してしまいました。
配信などについては調整中です。